あらゆる意味で、止まれない。
止まるわけにはいかない!!
ノンストップ漢気爆発ゾンビアクション!
勝つのはウィルスか漢気か。
他のジャンル映画とは一線を画す超傑作。
正しく生きよう!!約束だぞ!
ネタバレなし感想。
これ、めちゃくちゃ面白いです。
ゾンビ映画がお嫌いでなければ是非。
手放しで褒められる傑作です。
意外にもグロさはないので苦手な方でも。
絶対に一見の価値ありです。
大切な人とどうぞ。
一応生存の有無、結末などのネタバレありなので
未見の方はご注意を。
W杯、終わりましたね。
「言われなくても知ってるよ!」と聞こえて来そうなものだが、前回の記事でも書いた通りに我が家にはテレビがない。
しかし日々いろんな意味で熱狂していた日本列島。
時代の流れに取り残された俺でも知らんぷりするわけにはいかない。
なんとか「同じく熱狂したい!」と考えた末に俺は1つの映画をセットした。深夜2時に!!
負け犬達の泥試合、キックオフ。『少林サッカー』感想。ネタバレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
ここまでは前回と全く同じ書き出しだが、まだ前は「サッカー」という繋がりがあった。かろうじて。
しかし本作。一目瞭然すぎるほどのゾンビ映画。
「なんで?」と聞かれたら「観戦」から「感染」を連想しただけと言う他ない。
なんでも映画に直結してしまう俺の残念さがバレたところでざっとしたあらすじ…といきたいが
軽く言えば本作は非常に真っ当なゾンビ映画。
「パンデミック発生→生き延びよう!」というもの。
しかし本作ならではのオリジナリティとして
「急行列車」を舞台にした「群像劇」ということが挙げれる。
ある意味では『オリエント急行殺人事件』へのアンサーかもしれない。
観てないけど!!
ひとまず登場人物紹介。
右:「ソグ」
仕事人間。割と自己中。
そのせいで嫁さんに逃げられ、娘の心は離れ気味。
しかし多大なる危機を乗り越えていくたびに助け合う大切さを知っていく。
左:「スアン」
心優しき一人娘。両親のことが大好き。
どんなときでも人のことを考えられる非常に良い子。
左:「サンファ」
ガサツなおじさん。ただ心は優しい。
ぶっきらぼうだが悪人ではない。
まぁデリカシーはないです。
右:「ソンギョン」
その奥さん。妊娠中。美人で優しい。
右:「ヨングク」
純粋高校球児。草食気味。絶対良いやつ。
左:「ジニ」
可愛い今どきの女子高生。応援団。
その友人。というか半恋人。告白済み。
「ジョンギル」「インギル」
おばさん姉妹。冷めた妹と優しい姉。仲良し。
「ホームレス」
急遽乗り込んできた謎の男。
そんな彼ら彼女らが相手取るゾンビ。
いわゆるこのジャンルの主人公だが
本作のヤツらは近年のトレンド「走るゾンビ」
暗闇では標的を見失い、音に反応する。
まぁオーソドックスといえばそうだが
今回はなによりその物量がエゲツない。
車内では割と「個」で襲ってくるが一度外に出れば大群というより「塊」で襲いかかってくる。
当然真っ向から太刀打ちはできずに被害者がダース単位で出るのがこの手のお決まり。
しかしそこには他の映画とは段違いの熱気がある。
基本的に登場人物達は大体死んでしまうのだが
ひとりひとり丁寧なキャラ付けが為されているために誰が散っても号泣必至だ。
というか本作。外側はゾンビ映画だが、その内面には少年漫画的熱さが秘められている。
リーマン親子、夫婦、高校生カップル、おばさん姉妹、ホームレス…このどこにでもいそうな面々が
次々と漢気を魅せて散っていく。
これが泣かずにいられるか、というもの。
中盤。孤立したソグ&サンファ&ヨンググの3人。
皆が待つ車両は3両挟んだ先。
そしてそこには当然ヤツらが蠢いている。
俺なら「ここで暮らそう」発言をかましている場面だが、彼らは違った。
なにより途中の車両にはそれぞれのパートナーが助けを求めている状況だった。
誰からともなく戦闘準備をする面々。
プロテクターとバットを手に取る野球青年。
身の回りのもので装備を固めるエリートリーマン。
拳にテーピングを施す粋なおっさん。
己の身よりも弱者を守るために立ち上がった3人。
これぞ「漢」たるものだ。
ここから急遽始まるベルトスクロールアクション。
突破方法も正面突破に始まり頭脳派連携プレイなどとことん気が利いているのもプラスポイント。
まぁ結局サンファの打撃や投げ技にもっていかれるにしても!!
ゾンビを素手で殴り伏せる。これぞ天晴れだ!!
そんなこんなで無傷で安全地帯に辿り着いた3人。
束の間の再会を喜ぶものの、他の乗客は浮かない顔。
ヤツらの言い分としては「ゾンビの中を通ってきたんなら感染してるはず」というもの。
まぁ気持ちはわからなくもないが
英雄視されている主人公達に嫉妬しているようにしか見えない。なによりその決めつけに腹が立つ。
浅はかで最低なヤツら。
「もれなく全員サンファにブン殴られてほしいなぁ!」と思っていたのだが、あくまで彼らは一般人。
なにより相手にする価値もないと判断し先の車両へ移動することにする。
その背中に罵声を浴びせ、挙げ句の果てには戻ってこられないように扉を縛り付けるモブ共。
「どこまでクズなんだこいつら…」と思わずにはいられないが
そんな事態はどこ吹く風な女性がいた。
ジョンギルだった。
彼女だけは違う方向を向いていた。
後方車両から迫ってきていたゾンビの群れの中に見覚えのある顔があったからに他ならない。
なんとそこには姉、インギルがいた。
お節介で優しかった彼女。
いつも自分のことより他人のこと。
口では「バカね…」といいながらその様を見て茫然としないわけがなかった。
当然、黙って見過ごせはしない。
事情を知ってか知らずか敢えてなのか
「死ぬときは一緒よ…」とばかりにゾンビの群れが迫っている扉をフルオープン!!
満足げな姉妹と阿鼻叫喚に包まれるクズ共。
自己犠牲と因果応報が共存した瞬間だった。
カッコいいなぁ!!
その後も
・ゾンビの群れを単騎で押し留めるサンファそれも最初はいがみ合っていたソグに大事な嫁さんを任せる最強の死亡フラグつきだ!!
・ゾンビ化してしまったジニに正面から噛まれるヨンググ保留していた告白に対する最高のアンサー。
足手まといっぽかったホームレスさえ
終盤にスアン&ソンギョンのために身体を張って
「いいから行け!!」をやり出す始末。
最高だ!!!
もはやウィルス以上に漢気がパンデミックしまくっている。
とにかく一から十まで捨て所がない本マグロ的作品なのだが、一番燃えるのがラスト。
仲間達の身を討った助けもあり、なんとかスアンとソンギョンを連れて逃げ延びたソグ。
しかしそこに一番厄介なクズが迫る。
自己保身しか考えていない最悪の自己中野郎。
「隔離しろ!」とか言い出したのもこいつ。
映画史上稀に見るハイレベルクズ。
つまりはめちゃくちゃ名優さん。
まぁありがちにも運だけは良くここまで生き延びていた。
しかしここまでの間にソグは理解していた。
娘の大切さ、そして亡き友人から託された女性。
彼女らだけは絶対に守らなければいけないこと。
そのためには自己犠牲も厭ってはならないことを。
己が噛まれることも躊躇せずに身を投げ討つソグ。その眼差しには序盤の自己中さはカケラもなかった。
もう全身から漢気が漲っていた。
生半可な覚悟では止まらないと判断したソグは
車内で身につけた環境利用闘法を土壇場で発展させる。
具体的にはクソ野郎を鎖で巻きつけた後に
電撃バックドロップを披露!!
半分感染しながらも未来への希望を守りきったソグであった。
その後、自らの命が長くないことを考え
娘を力一杯抱きしめた後にソンギョンに託す。
最期は薄れいく自我の中で幸せなときを想い返しながら電車から身を投げるのであった…
こんなん泣くだろ!!
事実、俺は泣いた!!
その後、序盤で言われていた「ソグがいなかったから学芸会で歌えなかった」伏線を最高の形で回収するスアン。
それにより助かるソンギョン。
泣くよな!!ここでも!!
とにかく一から十までハラハラドキドキ、ときに熱く、ときに灼熱、そして最後は泣ける。
ホラーが苦手な方でも観てほしい大傑作だ。
思えば近年、日本でも『アイアムアヒーロー』という傑作ゾンビ映画がつくられた。
軽い気持ちで観に来たライト層を恐怖のドン底に突き落としたガチ作。
間違っても初デートには向いていない。
しかし本作はそれに勝るとも劣らない。
というか瞬間最大風速は超えている。
観た方に伝わるように言えば
ラストの孤軍奮闘が終始続くような熱さがある。
総括。
ゾンビ映画好きはもちろん、熱い展開が好きな方、ヒューマンドラマが好きな方も。
主人公の成長譚、ラストの相手は「もしかしたらこうなっていたかもしれないコインの裏側」ということでヒーローものとしても優秀。
直接的なグロさはそこまでなので
もはや老若男女問わずオススメできる。
登場人物もそれぞれ配置されてるので
誰かしらには絶対に感情移入できる鉄壁さもある。
括りとしてはホラーだが
観終わった後は「誰かに優しくしよう」という気持ちになる。
観客にはゾンビウィルス並みに優しさと漢気を感染させる後世に残したくなる映画だ。
オススメだ! 観よう!!
1人でも大切な人とでも!!
いろんな意味で圧倒的な予告↓
『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編 - YouTube
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