絶対に怒らせてはいけない漢、覚醒。
ドン底からの究極の倍返し。
敵対組織は1つとは言わず3つ潰せ!!
最高の不死鳥ムービー!!
ネタバレなし感想。
ステイサムが少女のために悪徳組織を3つ潰します。
以上!
男たるものとは。
やれ「草食系」やら「仙人系」やらジャンル分けがやたら盛んな昨今。
もはや定義がガバガバすぎてなにが正解なのか全くわからなくなってくる。
肉食がいいのか悪いのか
明るいのがいいのかミステリアスなのがいいのか…
まぁ正解を提示されたところで大人しく従う気はゼロではあるが
そんな中でも燦然と輝く大正解がひとつある。
ステイサム系男子だ。
この漢がモテなければもう世界は終わりだろう。
まぁ支持してるのは9割方男性な気もするが
それでも性別問わず嫌われることは絶対にない。
とはいえステイサム映画は「大体どれも一緒」と思われがちではある。
しかし本作のステイサムは一味違う。
「漢とはなにか」
「カッコいいとはなにか」
そんな曖昧な疑問にファイナルアンサーを叩きつけてくれるのは勿論
「ドン底からの這い上がり方」すら身体を張って教えてくれる。
生きていれば高い壁にぶち当たることもある。
しかしそれも本作のステイサムからすれば取るに足らないレベルの低さに見えてくる。
そんなお世辞にも「SAFE」とは言えないあらすじ。
ニューヨーク。
ステイサム in 地下闘技場。
今回のステイサムは元刑事。
しかしとある理由で退職していた。
今の生活費は闇ファイトで稼いでいるのであった。
とりあえず今日も元気にリングに上がるものの
相手をワンパンで沈めてしまう。
「まぁステイサムだし…」と思ってしまうが
プロモーター達は違った。
どうやら負けるはずの八百長試合に勝ってしまったらしい。
しかし「相手が弱すぎんだよ!」と
当たり前のように逆ギレするステイサム。
その場のプロモーター達を威勢良くぶん殴り
堂々と帰路につくのであった。ギザギザハートステイサム。
こんな嫌な日は誰かに愚痴りたくなるもの。
早速嫁さんに癒してもらおうと電話をかける。
…が出ない。なにか嫌な予感がする。
当然、この手の予感は当たるのが映画内のルール。
とりあえずトランスポーターさながらにマッハで帰宅するも
なんと愛しのハニーは殺されていた。
八百長試合に大金を賭けていたロシアンマフィアが見せしめとして動いていた。
「いつものステイサム」ならここで情け容赦無用のキリングマシーンと化すはずだった。
しかしよっぽどショックだったのか
その場に崩れて目に涙を浮かべてしまう。ステイサムの目に涙。只事じゃない。
「俺を殺すなら今のうちだぞ…」
か細い声で呟くステイサム。
「確かに!」という観客の声。
しかしそんなことを尻目にマフィア達はこう嘯く。
「これからお前を一生監視してやる」
「喋ったやつは殺す」
「孤独に生きるんだな」
また随分まわりくどい復讐だな…とも思うが
今のステイサムには何も応えられなかった。
笑いながら立ち去るロシアンマフィア共をバックに呆然とするしかなかった。
それでもいつまでもくよくよはしていられなかった。
着の身着のまま家を出るステイサムだったがそれは悲劇の始まりでもあった。
いそいそとホームレスの集会所に出向くも
翌朝、隣で寝ていたホームレスが殺されているという最悪の寝起きドッキリを食らう。
その直後、路上で財布をスられる。
入ったコンビニの店員は生意気。
もう倍プッシュどころではない不幸の連鎖が巻き起こる。
いつものステイサムなら歯牙にも掛けなかっただろう。
それぞれ一言ジョークでも吐いて終わらす案件ではあった。
しかし今は珍しく弱気なステイサム。
もう渇いた笑いしか出なかった。
それでも負のスパイラルは止まらない。
往来で騒ぎを起こしたために
昔の同僚でもあるNY市警に見つかってしまう。
どうやら現役時代に正義心を出しすぎたために
腐敗しきった市警連中からは恨まれているらしい。
これも「いつものステイサム」なら何も問題はなかった。
しかしここまで負の連鎖が続いてはもう抵抗する気力すらなかった。
あっけなくリンチされてしまう。全てに絶望。ドン底ステイサム。
やってきたのは地下鉄のホーム。
後は電車の前に飛び込むだけだった。
しかしここでとある光景を目にする。
1人出歩く少女。そしてそれを追う怪しい男達。それはあのロシアンマフィアだった。
それを一瞥するや否やステイサムの殺る気スイッチが入る。
「えっ!なんで?!」という観客の声。
そんな疑問も置き去りに
彼らが乗り込んだ電車へとエクストリーム駆け込み乗車!!デキる漢は常識に囚われない。
そして勢いそのままに車両を進んでいき
マフィア達の前に君臨する。ホラーにも程がある再邂逅。
相手がなにか言い放とうとするも
そんな戯言を聞く耳はもう持っていなかった。
なんの躊躇なく暴力をお見舞いしていく。
本編開始20分。
ステイサムが「いつものステイサム」にトランスフォームした瞬間だった。理由はわからんが!!
とにかくここから前半の鬱憤を晴らすかのごとく暴力装置と化すステイサム。色味も吹き飛ぶこの衝撃。
さらに復活した切れ味は身体能力だけではなかった。
あのジョークセンスも同時に戻ってきていた。
「お前はあのゴミ野郎か…」と言われようものなら
「違うな、ゴミを集めるんじゃない」
「処分するんだ」
と奪った拳銃の引き金を軽く引く。
もう完全に病み上がっていた。
完全にドン引きな少女。
とりあえずもれなく全員殺した後に
有無を言わせず事情を聞いてみると
どうやらこの子は天才少女。
とある重要なパスワードを唯一記憶している、とのことらしい。
それで「ロシアンマフィア」「チャイニーズマフィア」さらには件の「悪徳警官」達に狙われている、とのことだった。腐った野郎共。
そんな恐ろしい三竦み状態を知っても
ステイサムは全く揺るがなかった。
むしろ「前半の憂さ晴らしにちょうどいい」
とばかりにこれ以上なく奮起する。
こうして天才幼女を連れたステイサムによる
真昼の大運動会が開催されるのであった。
盛り上がってきたなぁ!!
…まぁあらすじを見てわかる通り
滅茶苦茶にもほどがある映画なのだが
これほど「いつものステイサム」が愉しい映画もない。
前半に鬱憤を溜めに溜めての解放。
爽快にならずにはいられない。
そして開始20分ほどでトランスフォームしてからは
一切弱音も愚痴もなく最後まで突っ走る。
強大な悪徳組織が3つ相手という圧倒的な不利な状況でも
10%のトンチ、10%のジョーク、そして80%の暴力で問題を解決しまくる様には
「痛快」以外の言葉を失う。
しかしそれだけならよくあるアクション映画として終わっていたかもしれない。
本作の魅力はこれだけではない。
前述した通りに
「漢とはなにか」ということを
嫌というほど教えてくれる「参考書映画」でもある。
例えばなんの接点もない少女を助けた理由。
実は知り合いだった?それともなにか隠された秘密でも?と普通は勘繰りたくなるもの。
しかしその答えは簡潔。
「俺を救ってくれたからだ」
少女はもちろん観客も理解不能な理由ではある。
しかしそれを理解しているのはステイサム自身だけで十分だ。
そして恩義を感じたならお釣りがくるほど返すという義理堅さ。
一度決めたら敵対組織が3つだろうがやり遂げる漢気。
押し付けがましいかもしれないが
有言実行してる時点で誰にも口を挟ませない隙のなさ。
さらにはラストでは
無事に3つの組織を壊滅させた後に一言。この安心安全なアフターケアの充実度。
正しいと信じたら最後まで、な一貫性。
さらにはおまけ的に
デートでの正しい紳士の振る舞い方も学べる。
本作のステイサムは運転が上手い。
まぁステイサムだし。
作中で遺憾無くそのテクニックが発揮されるのだが免停どころか「即、監獄行き!」レベルの
1人ワイルドスピードを大通りで開催!!
「運転の上手さは口ではなく実際に見せつけろ」
「やるなら派手にやれ!」と言わんばかりに!
まぁこれが正しい反応。
でもステイサムだから!!
さらには小洒落たBARの使い方。
中盤。
敵しかいないBARに単騎で入店するステイサム。
とりあえずカウンターに座り
マスターにフォークを注文する。
もちろんスイーツを食べるためではない。
そして不意に隣に座っていた男に話しかける。
「このひとときをなんて言うべきかな?」
「どんなひとときだ?」
「これから人を殺すときだ!!」
間髪入れずにフォークを喉元に突き刺し
流れるように銃撃戦、スタート!!
これぞ本当の「ハプニングバー」と言いたくなるほどの大暴れっぷり。
笑うしかない大殺戮、開始!!
あの様を文章で表すのはほぼ不可能。
ひとつ言えるのは
「テンションはもはやトランスフォーマーに近い」
ということくらいだ。こんな具合で暴れます。
この「ハプニングはBAR側からではなく己から起こせ!」という漢気。
まぁ日常で使ったら確実に全てが終わるだろうが
それでもいつかは実行したくなる清々しさだ。
とにかく全編に溢れる
「向かってくるやつは敵だろ!」
「もう殺そう!!」の精神。
共謀された雀卓状態で絶対絶命なはずだが
そこはブチギレステイサム。
「むしろわかりやすくていい!」
とばかりにキルゼムオールを不言実行する。看板に偽りなし。
その様は
「『トランスポーター』の面倒見の良さ」
「『アドレナリン』のキレっぷり」
「『ブリッツ』の電撃性」
「『メカニック』の殺意」
「『エクスペンダブルズ』の漢気」
をそれぞれ兼ね備えている。
一言一句、異議無し。
トータルすると
ワイスピのステイサムに迫る勢いだ。デッカードっぽい一枚。
嫁さん含め仲良くしたやつは死んでいく。
家も財布もない。
「ロシアンマフィア」「チャイニーズマフィア」「悪徳警官」に命を狙われている。
こんな不景気景気極まりない環境に陥ってもなんとかなる!元気があれば!!
とにかくうだうだしててもやる気は出ない。動け!!感じたままに!!
フルスロットルで己の信じた道を突き進めば
きっと人生は開ける。
そんな素晴らしい「人間賛歌映画」と信じて疑わない。俺は!!
例え観賞後には何も残らなかったとしても!
とにかく壁にぶつかってしまった1日の終わりにでも
ぜひ観賞してほしい皆殺しアクションの傑作。
ストレスがごっそりなくなるぞ!!
全力でオススメだ!観よう!!
大体わかる予告 ↓
著しく漢気が欠如したtwitter ↓