スピルバーグ、全部乗せ!
全世界のオタクよ、刮目しろ。
観ろ!!聴け!!感じろ!!!
新たな「道徳の教科書」誕生。
ポップカルチャーの究極全面戦争!!
ネタバレなし感想。
心にオタクを飼っている方は必見。
そこにはテーマ通り全てがありました。
まさに「夢」としか言えない2時間。
デートよりは友人同士で観るのがオススメ。
もちろん予告観てピンときたら是非。
できるだけ前情報なしで行った方がいいです。
オタク。
今でこそ市民権を得てきたが、元々は蔑称の意味も少なからずあった。
しかしポップカルチャーが浸透した現在でいえば
その総人口は果てしない。
受け入れる間口が広がったことは一映画オタクとして嬉しいという他ない。
そしてそんなオタク世代の発言権も大きくなってきた。
どの業界にもベテラン勢…言ってしまえば古参オタクが台頭してきた。
近年の映画界ではそれが顕著だ。
以前に当ブログでも軽く触れさせてもらったが
ブログ再開のお知らせ&近況報告。 - 高速回転する方舟の片隅で。
今月だけでも
「オタクがゲームの世界でロック様化する」『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
「怪獣と巨大ロボが正面から殴り散らかす」『パシフィック・リム/アップライジング』
「MARVELヒーローが奇跡の大集結を果たす」『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
…などなど、少年時代に抱いた「夢」を実現させた輝かしいオタク達がいる。
しかし忘れてはならない重鎮が1人。「スティーヴン・スピルバーグ」
オタク界筆頭にして最高峰なレジェンド。
映画好きならもちろん、詳しくなくとも一度ならずは聞いたことのあるその名前。
なにより世に送り出したヒット作の数が並ではない。これでもまだまだ一部。恐ろしい!
御歳(71)になるようだがバリバリ仕事をしている姿は
「心の底から映画が好きなんだろうなぁ!!」
と思わずにはいられない。
それも扱うジャンルは多岐に渡る。
男心をくすぐるエンタメ作を撮ったかと思えば
近いところでは
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
という社会派ドラマを撮ったりもした。こちらはたまたま試写会にて鑑賞させていただいたが、驚くほどに面白かった。
普段ドラマを観ない俺でも楽しめるほどにわかりやすく、勇気づけられる傑作。
ドキュメンタリーっぽくはありますが
良い意味で大人のエンタメ作。
悪い意味でのハラハラはないのでお仕事終わりの夜にでもまったりと。
ここからは完全に予想だが
おそらく彼の中の少年心は疼いていた。
「大人向け作ったから今度は趣味全開でやらせろ!」
そんなわがままがとある小説にぶつけられた。『ゲームウォーズ』
知る人ぞ知る傑作SF小説。
一言でいえば「スーパーオタク大戦」
この実写映画を手掛ける運びとなった。
かくして「オタクの教科書×オタクの参考書」という
最強の掛け算で出来上がった本作。
一言でいえば やってくれた。
というより完全に「やらかしてくれた」
映画史にはもちろん、俺らの心の自由帳にも刻まれる不滅の傑作がそこにはあった。
男3人で鑑賞したのだが
普段は下ネタか罵詈雑言しか話さないメンツが
上映後は皆キラキラした少年の顔であれこれ語り合う羽目になった。
人を生まれ変われさせるほどのド級のパワーを持った恐ろしい映画だった。
そんな「オタクisパワー」なあらすじ。
いろいろやらかした人類は全てを諦めた。
そして皆、遂に開発された夢の仮想空間「オアシス」に現実逃避していた。VR(ヴァーチャル・リアリティ)にて全ての夢が叶う人類の到達点とも言える仮想空間。
そこはもうなんでもありの「桃源郷」だった。
主人公「ウェイド・オーウェン・ワッツ」も
御多分に漏れずにどハマりしていた。
それも彼は「人生やめてるのは当たり前」なガチゲーマーの中でも一際目立った存在だった。今日も仮想キャラ「パーシヴァル」として
製作者の遺言「イースターエッグ」を探しにログイン。
これを見つけ出せば「オアシスの所有権」「5000億ドル相当の遺産」が授与されるという大変景気が良いもの。
しかしそれには超えなくてはならない試練が3つ、そのどれもが5年間破られていない鉄壁さだった。
ひとまず今日も皆、「第1の試練」である「命の値段大安売りレース」に参戦するのであった。
それはウェイドも例外ではなかった。
いつも通り我が物顔で「デロリアン」を乗り回しながらコイン集めに奔走していると
とある1人の少女と出会う。「アルテミス」
「AKIRAバイク」を乗りこなす「わかってる」女子。
ひとまず絡んだ女キャラに一目惚れする童貞特有の奇病を発症した後に
なんやかんやで共にヒントとなる「鍵」を獲得する2人。
しかしそれは同時に波乱の幕開けでもあった。
「イースターエッグ」はただの隠し要素じゃない。
現実世界で通用する莫大な資産だった。
そうとなれば当然ガチで探し回っている連中も出てくる。「ノーラン・ソレント」
専門の会社を立ち上げてしらみつぶしにゲーム内を探し回る拝金主義者。
そこには「夢」も「希望」もない。
ゲーム内最強の殺し屋でもある「アイロック」を味方につけるなど手段は選ばない。
そんなやつが敵にいては浮ついていられない。
ひとまず顔見知りでもある強者達と合流を果たすウェイドとアルテミス。
「エイチ」頼れるナイスガイ。メカニック担当。
その腕はゲーム内でも随一。
密かにとある「巨大兵器」を開発している。
「ショウ」ニンジャ。格闘も情報収集もお手の物。
「ダイトウ」サムライ。戦闘能力はチームNo.1。
そのアバターは「伝説の侍」そのもの。
皆今まで以上に本腰を入れて捜索を開始。
それぞれ協力し合いながら次々とミッションをこなしていく。
しかしそんな中でもお構いなしに
これまた童貞特有の「出会い厨」と化しているウェイド。
アルテミスとの出会いを「運命」と盲信し
自らの個人情報をバラしてしまう痛恨のミスをかます。
当然それはノーランの耳にも入る。
この世界ではこちら以上にネットリテラシーに敏感であるべきだった。
しかしそれに気づくのが少し遅かった。
焦ってオフ会を開催するウェイド達であったが
それもノーランに嗅ぎつけられてしまう。
かくしてゲーム内でも現実でも追われることになってしまったウェイド御一行。
果たしてゲームと現実、どちらも上手く「クリア」できるのか?
この掃き溜めから抜け出せるのか?
なにより彼は童貞を卒業できるのか?
比喩抜きで人生を賭けたイベントバトルが開幕する!!
…というもの。
とにかく宣伝文句でもある
「ポップカルチャー、大集合!」
は伊達ではなかった。
主人公達は「隠し財産」である「イースターエッグ」探しに奔走するが
観客は終始「隠し要素」の「イースターエッグ」探しに目を見開く。
オープニング戦のカーレースだけでも
「デロリアン」をかっ飛ばすウェイド。
「AKIRA」バイクを乗りこなすアルテミス。
背後には「インターセプター」
横切る「マッハ号」
大破する「バットモービル」
後ろから迫り来る「T-レックス」
縦横無尽に暴れ回る「キングコング」
…と、おもちゃ箱をひっくり返したような混沌さ。観ているだけで確実に脳が処理落ちする豪華さ。
それはポップカルチャーに浸っていた期間が長ければ長いほどに深い胃もたれを引き起こす。
さりげなく流される中にも
・DCキャラクター
・ゲームキャラクター
・映画キャラクター
・ホラーキャラクター
「チャッキー」「フレディ」
そして丸々引用される『エイリアン』『シャイニング』などの超有名映画。
…と、本気で枚挙に暇がない。
ひとつひとつ取り上げて解説していきたいところだが
正直それはあまりにキリがない。
細かいネタは他所様のブログかwikiを参照してもらうことにして
当ブログではひとつに絞ることにする。
それは嬉しくも誇らしい
「日本へのリスペクト」だ。
それが大爆発するのは最終決戦。
ラストとなる「第3の試練」会場をバリアで囲み
自社の社員で独占したノーラン。当然、そんな横暴を許すわけにはいかなかった。
ウェイドはオアシスの住人全員にビデオチャットを飛ばす。「俺らの大事なホームが荒らされてる」
「やつらに明け渡すわけにはいかない」
「全員、集合してくれ!!」
このオタク特有ともいえる気恥ずかしすぎる演説。
現実世界なら一笑に付されて終わりだろうが
ここはオタク達の桃源郷「オアシス」
すなわち受け取る側も全員オタクだった。
なんら問題はなかった。
これ以上ないほどに住人の心は激しく突き動かされた。
なによりこんな最大級のイベントに乗り遅れるわけにはいかなかった。
ノーランは余裕ぶっていたが
それは彼が徹底的なまでに現実主義だったからだろう。
「夢」より「金」を優先してきた男には見えないもの。
それが現実では滅多に口に出せない、
しかしここなら胸を張って言えるもの。
純粋で真っ直ぐな「絆」だった。全プレイヤーが一挙に集結。
もうどいつもこいつも笑顔だった。
全員見事なまでに開き直っていた。
「こんな機会を待っていた」とばかりに一致団結。
一斉に牙城を崩しにかかるのであった。いよいよ全面戦争、開幕!!
命を顧みずに突撃してくる兵隊は「ポップカルチャーそのもの」
熱量でいえば「地球上で最もやる気に満ち溢れた軍隊」と言っても過言ではなかった。
そして「その熱気のビッグウェーブに乗ろう!」とばかりに
エイチが起動した「秘密の巨大ロボ」は
趣味と漢気が全力で叩き込まれたものだった。「アイアン・ジャイアント」
劇場内の体感気温が2度は上がった瞬間だった。
しかし敵は敵で全くの無策ではなかった。
むしろ準備は万全だった。
予想外の大群を目の当たりにして
子守唄並みに聞き馴染みのあるテーマソングと共に
とある「最終兵器」を起動させる。
「メカゴジラ」
もう敵ながら天晴れだった。
オタク文化に疎くてもその脅威は推して知るべし。
あっという間に追い込まれていくオアシスの住人。
その阿鼻叫喚度は怪獣映画のそれになっていた。
当然主人公達もその恐ろしさは重々承知していた。
こればかりは手の打ちようがなかった。
完全にお手上げだった。
そんな折、ふと横を見てみると
ダイトウが瞑想をしていた。
「お前こんな大事なときに何やってんの!?」と声を荒げる面々。
今はオアシスの将来が決まる最終決戦の最中。
住人が総出で命も惜しまずに戦っている。
なによりチーム随一の戦闘力を誇るダイトウ。序盤ではあの「ジェイソン」と死闘を演じていたほどの漢。
どう考えてものんびりしてていい状況ではなかった。
いよいよウェイド達の万策も尽き始める。
メカゴジラに蹂躙されるのも時間の問題…だった。
そのとき。ダイトウが静かにその目を開け
「日本語」で高らかに宣言する。
「俺は…"ガンダム"で行く…!」
その声で遥か高い天空から飛び降りる
そして戦場上空で「ガンダム」に電撃トランスフォーム!!
今度はオアシスの住人、そして観客の体温が5度ほど上昇した。
奇跡の頂上決戦、スタート!!!
もうこれで完全に何かがキレた。
皆が勝利を確信した瞬間でもあった。
全員、泣き笑いするしかない熱さがそこにはあった。
そして迎えるラスボスとの最終一騎打ち。
仲間達の犠牲もありながらウェイドが辿り着いた先にはノーランが待ち構えていた。
体格で見れば絶対に勝てない相手だった。
しかしここは「オアシス」
全ての夢が叶う場所。
言ってしまえば都合が良い理想郷だった。
「忘れたのか?」
「ここはゲームの世界」
「いわば俺たちのホームだ」
そして繰り出されるあの「構え」「波・動・拳!!」
「K.O.」される他ないノーランであった。
とにかく全篇「夢か幻か」な光景が繰り広げられる奇跡のオールスターバトルな本作。
おそらく1年前の自分に
「三船敏郎がガンダムにトランスフォームしてメカゴジラと闘う映画がやるぞ!」と言っても絶対に信じない自信がある。
少年時代にワクワクしながら触れた「映画」「アニメ」「ゲーム」の感動を甦らせてくれる。
そして「夢」を叶えてくれる最高の作品だ。
そしてその陰に隠れがちだが、主人公ウェイドの成長譚としてもこれ以上なく仕上がっている。
ラストには無事遺産を相続、さらにアルテミスの中の人「サマンサ」と結ばれるわかりやすいハッピーエンドも素晴らしい。
まぁ唐突に「オアシスは週休二日な!」と言い出す調子の乗りっぷりはどうかと思うが!!
それも含めて「らしい」と言えばそうだが!
というか本作。
女の子の前で調子乗ったり
同志を見つけると見境なしにはしゃいだり
変に純粋だったり
急激に達観した気になったり
オタクの描き方が上手すぎる!
やっぱり凄いわ!スピルバーグ!
余談。
原作小説の『ゲームウォーズ』だが
こちらはこちらで映像化の権利などのしがらみがない分、相当自由なことになっている。
本作の「ガンダム」ポジションが「ウルトラマン」だったりと特撮好きにはたまらない傑作なのだが
なにより大きな違いは「主人公機」
小説ではなんと「レオパルドン」だ!!東映版『スパイダーマン』より。
名実共に「特撮最強ロボ」の名を欲しいままに。
その昔、東映とMARVEL間で「3年間だけお互いのキャラを好きに使っていい」との契約が交わされた。
それにより生み出された傑作ドラマ『スパイダーマン』に登場する主人公機だ。敵を倒す時間は1分程度。最短で10秒を切る。
ちなみに設定がまるで別物のため勘違いされがちだが
本作もれっきとした本物の「スパイダーマン」ちょっと日本でグレちゃっただけだ!
いつか当ブログでも紹介させてもらうが
その良さの一端をここで。
ひとつの大きな特長として
「名乗り口上」をキメながらの登場が恒例となっている。それも
「地獄からの使者、スパイダーマン!」
「鉄十字キラー、スパイダーマン!」
「犬笛にむせび泣く男、スパイダーマン!」
「キノコ狩りの男、スパイダーマン!」
こちらもこちらでかなり自由だ。
もし映画でも「レオパルドン」が登場していたら
おそらく主人公は高らかに名乗り上げたであろう。
『オアシスの明日と全てのオタクの夢を守る男、そして地獄からの使者…スパイダーマン!!』と!!
そんな妄想が尽きることない超傑作。
観よう!!気の置けない友人と!
観賞後の感想トークが捗るぞ!
ちなみに友人間で満場一致だったやりたいことは
「ルパンのアバターでハルクバスターを操縦したい」だった。
偏差値低いなぁ! 我ながら!!
これだけでも満腹になる予告↓
映画『レディ・プレイヤー1』予告1【HD】2018年4月20日(金)公開 - YouTube
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