ぐうの音も出ないカッコよさ。
考えるな、感じろ!!
ハリウッドの全力お子様ランチ。
野郎は強制的に退化する!
女性は暖かい目で見守ろう!!
「戦隊ものをハリウッドでガチでつくろう!」
という意気込みの本作。
「こういう金の使い方は非常に素晴らしい!!」と絶賛せざるを得ない。
それでも幼少時代には戦隊ものどころか仮面ライダーやウルトラマンなどの特撮には一切触れてこなかった俺としては当初、スルー案件であった。
しかしこの度、非常にありがたいことに試写会が当たった。
キャストや監督、吹き替え陣、そしてアントニオ猪木という豪華舞台挨拶にもどこか余裕をかましてしまった俺。
しかしそれも上映開始するまでだった。
いざ本編が始まると俺の大好きな要素の目白押し。
まさに大好物のジクソーパズルな超大作だった。
全てのピースが噛み合って行く様はまさに爽快の一言。
気がつけば食い入るようにどっぷりハマってしまった次第だ。
もう映画の神様に感謝する他ないが
よく考えてみればこの「日本への逆輸入」パターンにはあの『トランスフォーマー』や『パシフィック・リム』があった。
偉大な先輩方。夏だな!!
同属の映画としてそれに勝るとも劣らない熱量を持っているのは想像に難くない。
相変わらず学習しない自らの愚かさを省みながらも
本作はそんな脳内小学生のためにつくられた傑作だ。
さてあらすじ…といきたいところだが、なにも難しいことはない。
まずは個性バラバラな若者5人が補習クラスにて出逢う。
「ジェイソン・スコット」
〈レッド・レンジャー〉
元アメフトの花形選手。
街中の人気者だったがパトカーとカーチェイスする、という若気の至りで謹慎処分。
補習クラスに参加することになる。
元QBだけあって抜群の統率力を誇る。
熱血脳筋だけでは終わらないのが今風な感じ。
まさに王道的主人公。
ちなみにザック・エフロンに激似。
「キンバリー・ハート」
〈ピンク・レンジャー〉
学園の元マドンナ。めちゃくちゃ美人。
当然のごとくチア部所属…だった。
SNSにて友人のハメ撮りを流出させるという超ド級の炎上案件を引き起こし、失墜。
補習クラスへ出向となる。
気が強めだが女の子らしい一面も。
ぐうの音も出ない平成感。王道。
「ビリー・クランストン」
〈ブルー・レンジャー〉
自閉症の天才。
コミュニケーション能力に難があるために補習クラスに。
テンプレな天才。
マイペースで空気が読めないためにいじめられていたが、スーパーパワーでなんなく報復。
調子に乗る様はまさに面白黒人。
しかしジョークが一切通用しないというあるまじきオリジナリティがある。
まぁ結局ギャップで一番笑いをとるが!
一風変わりつつも結果、王道的。
「トリニー」
〈イエロー・レンジャー〉
ミステリアス系女子。
引っ越しばかりですっかり冷めきってしまい、家族とも周りとも仲良くすることを諦めている。
その達観した様子は最も現代っ子っぽい。
そして若干メンヘラ入ってる気がしなくもない。
でも笑うと可愛い。
闇堕ちするかと思ったがそんなことはなかった勢、その1。
「ザック」
〈ブラック・レンジャー〉
不良なアジアン。
しかしいじめっ子とは別ベクトル。
むしろ一匹狼に近い。
口は悪いがどこかヘタレ。
頼りになるんだがなんないんだが。
初期のヤムチャ感がハンパない。
病弱な母がいる。今どき驚きの親孝行息子。
歳上女性からは一番人気出そう。
闇堕ちするかと思ったがそんなことはなかった勢、その2。
以上、それぞれ「体育会系」「マドンナ」「オタク」「メンヘラ」「ヤンキー」という個性の強さ。
このキャラも人種も文字通り多種多様なメンバーがひょんなことからスーパーパワーを得る。
そして抱えている悩みもそれぞれありながらも
ひとつの共通点をキッカケに仲良くなっていく王道さ。
わかっていながらも熱い。
はしゃぎつつ即、仲良しに!
そしてそこに迫り来る悪役。
「リタ・レパルサ」悪い女。
実は先代パワーレンジャー。
やたらとゴールドを集めている。
無機物から配下の雑魚をつくる能力で闘う。
ちなみに素手でもそこそこ強い。
そこはかとなく漂う風俗堕ち感。
ビジュアル、武器、小物感。そして詰めの甘さ。
どれをとってもぶっちゃけ「女版ロキ」
「地球はアタシのものよ!!」
このままじゃ地球がヤバイ!
数日の修行を経て一致団結した面々。
「やるっきゃない!!」
そして変身!!
「世界救ってみっか!!」
…という王道もいいところな「完全」懲悪ものだ。
とにかく本作の特色として徹底した「明るさ」が挙げられる。
昨今の流行りとして「とにかくシリアスに」という風潮がある。
ヒーローだって一般人。
悩むこともある。
ときには塞ぎ込んでしまうこともある。
人間関係でドロつくこともある。
さらに言えば本作の主人公は悩み多きティーンエイジャー達。
そちらにフォーカスされても文句は言えない状態だった。
しかし監督はわかっていた。
ティーンエイジャーの一番の特徴は「向こう見ずなバカさ」だということを。
もちろん「子どもと大人の中間」という面も描かれる。
しかし「それはそれ!!これはこれ!!」
と言わんばかりに後ろ暗い悩みの数々をスーパーパワーで吹き飛ばす。
確かに急にスーパーパワーを得たら戸惑うだろう。
いきなり嬉々とするのは厨二病か頭のネジが外れたやつだけだ。
キチンとその戸惑いの部分もおざなりにはされてない…が!!!
1時間後にはいじめっ子をブッ飛ばす。
さらにはそれを嬉々として武勇伝として語る。
放課後にはハイテンションでスーパーハイキングを決行する。
これ以上なく嬉しそう。当然だ!!!
断崖を飛び越える。意味はない!!
これだろう!!若者なら!!
確かに「大いなる力には大いなる責任が伴う」だろう。頷く他ない正論だ。
それでも
「そんなことは後回し!今はハシゃごう!!」
というのが正しきティーンエイジャーの姿でもある。
この手の「若気の至り」をスッキリするほどに見せつけてくれた作品は未だかつてなかなか見受けられない。
前半は主に特訓込みの青春ドラマなのだが
子ども向けということもあるのだろうかドロドロした愛憎劇は皆無。
この笑顔!!
バカやって笑って仲良くなる。
この湿気ゼロの爽やかさ。
もはや青春部活映画だ!
実際自分で考えてみても「こんなんだったなぁ!」と思わずにはいられない。
正直このパートだけで1本撮ってもらっても十分に楽しめそうなほどだ。
ちなみに個人的な一番の見所は特訓がてらの女性陣によるケーキ争奪戦。
一瞬、2人がサモハンとドニーさんに見える!!
マジで!!
『葉問』より。
これだ!!
どうかしてるなぁ!我ながら!!
そして後半のヒーローパート。
ブルーが死んだり生き返ったりしつつも纏まった5人。
この逆境からの倍返し。
わかってはいるが燃えずにはいられない。
登場はもちろん…
“Superhero Landing”!
高まるなぁ!!!
とりあえず手始めに雑魚どもをキレッキレにも程がある素手格闘にてボコボコにし
1週間の特訓の成果。凄いなぁ!!
少しでも劣勢になろうものなら秘密基地の倉庫から最終兵器「ゾード」を引っ張り出す容赦のなさ。
恐竜をモチーフにした大量破壊兵器。
「ゾイド」じゃなくて「ゾード」なのがポイント。
元ネタなのかオマージュなのかは知らん!!
しかし横並びはいつ見ても滾る。
それぞれ一機ずつぶっつけ本番で操縦!!
結果、雑魚共は塵芥に!
普段は冷静なピンクも新車を与えられたかのようなテンションに。
そりゃこうなるよな!
斜に構えてる場合じゃない!!
そのまま舞台を荒野から街中に移し最終決戦、スタート!!
結構な数の死者は出てるが気にしない!
申し訳程度に父親は救うが!!
それでも特撮とはこうあるべきだろう。
というかティーンエイジャーのデビュー戦なんだし他人に構ってる暇なぞない!
地球と自分の方が大事だ!!!
しかしあっさりやられてくれるリタじゃない。
無数に岩石兵を生み出し、融合する離れ業を見せる。
進撃の黄金兵。デカい。
これには連携攻撃もなかなか効かない。
ガタイ=強さ。
それどころかこれ以上ない窮地に追い込まれてしまう。
しかし…
5人が真の正義に目覚めたのか、それとも生への執着か。
5機が合体!! 流れで!!
これぞ変型ロボの醍醐味。
理屈無用の熱量と圧力だ!!
そのまま真正面からの殴り合いに発展!
ビームもサーベルもいらん!
ロボだろうが喧嘩は素手に限る!!
本作が『パシフィック・リム』に並んだ瞬間だ。
さらにそれだけでは飽き足らずフィニッシュにはバックドロップまで見せつけてくれる。
中盤の特訓シーンの伏線も相まって体温が5度は上昇するキメ技だ。
街の被害は知らん!!
そしてそのまま逆光をバックに立ち尽くす合体ロボ。
粛清、完了。
ちなみにリタはこの合体ロボのフルスイングビンタにて大気圏外に。
容赦ねぇなぁ!!
まさか舞台挨拶に猪木が来たのが伏線だったとは!!と思わずにはいられない。
そしてエンディングではそれぞれ親友としてハッピーな日常を歩む。
さらには新たなレンジャーになりうる転入生が…?
と完璧すぎる幕引き。
熱く、爽やかに、続編への橋渡しも。
もう唸るしかない。
まぁ完全に勢いとテンションの高さだけで終始突っ走る本作。
しかしその作風こそが「ティーンエイジャー」というものを表現している、と言っても過言ではない。
もはやどこを切ってもまさに「夏休み映画」の要素しか出てこない。
最終的には『スタンド・バイ・ミー』からの『パシフィック・リム』という、まさにバックドロップ級の急転直下を脳天に食らわせてくれる傑作。
夏だからこそ観よう!!!
暑さを「熱さ」で吹き飛ばせ!!
はしゃごう! 騒ごう!!
少年になろう!!!
「It's Morphin' Time!!」
ノリノリな予告編↓この通りだ!!
ハリウッド版スーパー戦隊が変身!『パワーレンジャー』予告編 - YouTube
ちなみに吹き替えだと「ブルー」は杉田智和。
もっかい観るっきゃねぇ!
全く少年から成長しないtwitter↓