20分の短編と侮るなかれ。
濃縮されたアジアンエクスペンダブルズ。
功夫映画ファンなら絶対見よう!
エンドロール後も見逃すな!
近年。大スター同士の共演が増えてきた。
観客の目も肥えてきたのだろうが、ひと昔前ならありえないような奇跡が次々と見られるのは歓喜する他ない。
例えば『ワイルド・スピード』シリーズではヴィン・ディーゼル、ロック様、そしてステイサム。
国際的な肉弾ハゲ三兄弟が揃い踏みした。毛髪率は驚異のゼロパーセント。
最近ブームのアメコミも共演ものとしてはメジャーなジャンルになってきた。
『アベンジャーズ』
MARVELによるアッセンブル映画。
ひとりでも最強。みんな揃えば無敵。
ライバル社DCによる大集合ムービー。
オンリーワンどころかナンバーワンばかり。
しかしこのブームの先駆けは『エクスペンダブルズ』シリーズだろう。いい写真。限りなく物騒だけど!
アカデミー賞とは無縁だが俺デミー賞の常連な方々が一挙集結。
詳しくない人に説明するなら「いいとも最終回をアクション映画界でやってみた」歴史的作品だ。
とにかく右を見ても左を見ても主役級スターがごろごろ出てくる本シリーズ。
現在は『3』まで製作されている中、様々な続編の話がある。
正統派続編である『4』や、テレビドラマ界のレジェンドを集めた『ドラマシリーズ』、そして『女性版』とその世界は拡がりを見せようとしている。
どれも実現を願っているのだが、最近「スタローンが意見の相違でシリーズから脱退!」との不穏な噂もあり居ても立っても居られない現状ではある。ファンならこうなることを期待しているが!
まぁそんな中でもとりわけ実現が難しそうなのが『アジア版』だ。
現在ハリウッドのアクションスターはアジア発の方々も非常に数多い。
しかしそれぞれ自国から飛び出してアメリカ、ひいては世界的大スターになった自負がある。
おいそれと簡単に集結するのは難しい。
なによりスタローンのように音頭をとる中心人物が不在。
そんなこんなで期待はしていなかったのだが
とある日、Twitterにて目を疑うような恐ろしいニュースが舞い込んできた。
ジェット・リー、ドニー・イェン、朝青龍共演の短編「功守道」がWeb公開(動画あり) - 映画ナタリー
(以下、一部引用)
「功守道」はジャック・マー扮する太極拳の達人がさまざまな武術の達人と戦っていくアクション映画。「マッハ!」のトニー・ジャー、「戦狼/ウルフ・オブ・ウォー」のウー・ジン、元横綱の朝青龍、「イップ・マン」シリーズのドニー・イェン、「少林寺」のジェット・リーらが対戦相手として登場する。さらにホアン・シャオミンやトン・ダーウェイ、イギリス出身の世界的な某アクション俳優らがカメオ出演している。
アクション顧問には「グリーン・デスティニー」「マトリックス」のユエン・ウーピン、「燃えよデブゴン」シリーズのサモ・ハン(サモ・ハン・キンポー)、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」「HERO」のチン・シウトンが名を連ね、「海洋天堂」でジェット・リーの息子を演じたウェン・ジャンが監督を務めた。そしてジャック・マーとフェイ・ウォンがエンディングテーマを歌う。
本作は、長年太極拳を学んでいるジャック・マーと、功守道という新たな武術を始めたジェット・リーがタッグを組み、中国武術の振興を目的に製作したもの。11月15日には功守道初の公式大会が北京で行われる予定となっている。
ん、良くわからんが大ニュースじゃないか!?これ???!!
こんな一大事件を見逃していた自分に腹が立ちつつも詳細を追ってみた。
まぁ簡単に言えば「中国武術を盛り上げるためにスター達が手を組んで20分程の短編映画を撮ってみた」ということらしい。
言ってしまえばガチったYouTuber達。
正直あらすじらしいあらすじはほぼないのだが
そんな「闘ってみた」あらすじ。
主人公。ジャック・マー。
太極拳の凄さを知らしめるためにこれから幾多の相手を道場破りしていこうと画策する。
怪しげな建物に押し入るとそこには数名の輩。
ヤンキーが常駐している地元のゲーセンな雰囲気だった。
当然仲良くマリカーをするわけにもいかない。
最初の相手はストリートバスケに励んでいたあっ!トニー・ジャーだ!!
とはいえ相手は大先輩。
なによりこんな最初から消耗させるわけにもいかない。
持ち味であるムエタイと顔芸を駆使しながらも一歩及ばないジャーさんであった。股間を蹴られて悶絶ジャー。
そこから若手ボクサー、やたら身体能力高いカポエイラ使い、そして春麗コスの女性をcmの片手間に倒していく。若手に胸を貸す気ゼロな関節技。
武術家は一発で。
白春麗に至っては組手すらなし。
しかしここまで好き勝手に溜まり場を荒らされるのを黙っていられない漢がいた。
次の相手は春麗と一緒にアーケードゲームを興じていたウー・ジンだ!!
どうやら白春麗と良い仲らしい。男女グループの生々しいあるあるもそこそこに棍棒を取り出すウーさん。
二刀棒術vs長物、スタート!!
相変わらずの武器の扱いっぷりにスクショが追いつかなかったので割愛するが、なかなかに善戦するウーさん。
「ジェット・リーの後継者」は伊達ではなかった。ときおり「狼の眼」も発動する。
しかし空気が読めるのもウーさんの可愛いところ。
最終的にはよくわからん体幹対決で幕を下ろす。ファンならある意味必見。
ここまで観ているとどうにも接待プレイの雰囲気がプンプンしてくる。
まぁ先輩、ひいてはチャリティに本気出すわけもいかないのはわかるが!
しかしジャックが足を踏み入れた次の場所は今までとはまるで空気が違う。
なにより複数の女性が逃げ惑っている。どうやら中には「猛獣」がいるらしい。
あっ!ドルジだ!!!
それもよくわからんが怒っている。
物凄く怒っている。まさかの相撲vs太極拳、開始!!
引退して久しいとはいえその身体はガチガチの筋肉鎧な朝青龍さん。
さらには身のこなしの軽さまで見せつける始末。Twitter通りの我の強さ。
この明らかに今までとは違う強敵。
体格差から見ても正面から挑んでは分が悪い。もう絶対に分が悪い。
素人目に見ても絶体絶命だった。
しかしここで果てるわけにはいかないジャックは戦闘プランを変更。
アクロバットさと合気をメインに闘うことになる。
さすがの朝青龍といえど自らの力を利用されては勝ちは難しい。
立ち会いの力をそのまま打ち消され倒されてしまう。
まぁほぼ無傷だが相撲スタイルだと負けは認める他ない。引き際の良さも横綱級なドルジさんであった。
続いて辿り着いた先はファンタジーな桃源郷。 そこで寛いでいる1人の漢。それは…
あっ!!ドニーさんだ!!
和やかな雰囲気を出してはいるが明らかに只者ではない。
その証拠にこの足湯。ピラニア足湯だ。
その魚群をオーラで散らした後にあのポーズをとるドニーさん。まさかの葉問の構え。
この堂の入り方。
もはや完全に胸を貸す気はなかった。
ジャックもそれを察したのか「3発蹴り入れられて倒れなかったら俺の勝ちだから!」などと勝手に言い出す始末。
しかしそれにもドニーさんは全く動じない。太極拳vs詠春拳、開幕!!
そして初っ端からドニーイズム全開なドニーさん。よく見る超高速連撃。
よく見る受け流し。
よく見る構え。
よく見る眼光の鋭利さ。
俳優が武術をやっているというより
武術家が俳優をやっているドニーさん。
もう完全に容赦はなかった。もはやドニーさんのPV状態だった。
しかし勢い余って「三発半」の蹴りを入れてしまったことで試合が強制終了。
自らはほぼノーダメながら武術家である以上、相手を立てる大人なドニーさんであった。主人公らしからぬ逃げ腰。
「こいつマジか…」なドニーさん。
しかしそれを良しとしない管理人がいた。
ジェット・リーだ。
まずは小手調べにいきなり襲いかかる。有無を言わせない箒での一撃。
ラストバトル。太極拳vs少林拳、スタート。
まぁ共同出資者なだけあってイーブンな闘いの後、決着はつかない。
それどころかラストはまさかの夢オチからの逮捕オチという雑さで終わる。唐突に!まぁこの手の映画にストーリーは求めていないのは事実。
それは割と粗めの編集からも伝わってくる。
もうベルトスクロールばりに強豪達と闘いすぎて疲れたのかもしれない。
それでも確かなアクションが見られる必見な短編だ。
しかしなにより見所はエンドロール後。
どこからかビデオ通話が入る。
あっ!!ステイサムだ!!?!
英語なので何言ってるかはよくわからんが
どうやら虫の居所が悪いのは確かなようだ。
拙い英語力で翻訳してみたが
「俺と出会わなくて良かったな…」
「次会ったときは俺がレッスンつけてやるよ」
とのこと。
その後、パッキャオ&ゴロフキンという最高のプロボクサーから似たような台詞が吐かれるが、正直あまり頭に入ってこない。パッキャオさん。
ゴロフスキンさん。
放心状態で画面を見つめていると…
あっ!!?
もう一回ステイサムだ!!!!
さっきよりイライラが増した殺意満載の目で
「俺らで迎えに行ってやるよ」
ジャック・マー、ご愁傷様!!
無料で見られる本編↓
無料でも見ないTwitter↓