ハイスピードバトル、ここに極まれり。
極限進化した剣戟を見逃すな!!
ドラマパートには期待するな!!
ネタバレなし感想。
有象無象の実写化の中では及第点。
雑に総括すれば「普通に面白い」
原作好きなら一見の価値あり。
原作未読の方は予告で雰囲気掴んでから。
用語がゾロゾロ出てきますが解説もキチンと入るのでご安心を。
夏休みの暇つぶしにはうってつけです。
注釈。
諸事情により本記事は鑑賞1ヶ月後に執筆しているせいかいつもより熱気がありません。
決して本作の出来が悪いわけではないのでご容赦を。
夏ですね。
この時期になると騒がしくなるのは10代、カップル、セミ、幽霊と相場が決まってますな。
その中でも風物詩と言われる幽霊。
個人的にはホラー大好きっ子なのだが
どうも最近は心霊番組が減ってる気がしてならない。
噂では「クレームがすごい」「この時代に流行らない」「誰でも心霊写真つくれちゃう」などの理由からブームも下火らしい。
まぁ一理あるかもしれないが
そんな細かいこと言い出したら人間終わりだ。
…とは思ったものの、とっくに人間性が終わってる俺が言っても説得力はないな!!
それでも寂しい気持ちは変わらない。
しかしそんな少数派の意見を汲み取ってくれたのか
今夏は霊が劇場に現れた!結構前に!!
『BLEACH』
週刊少年ジャンプで少し前まで連載されていた人気漫画の実写化。
まぁファンからすれば心霊よりもゾッとしかねない「実写化」という鬼門。
「また実写化か…」と項垂れる気持ちもわかる。
「三次元であのセンスを描けるの?」と不安になるのもわかる。
それでも俺はちょっとだけ期待していた。
大体今のご時世、実写化は70点取れれば上出来。
原作が連載終了している&主演が成宮寛貴と堀北真希じゃない時点で時期を逃しすぎたことは明白だが
そうは言っても今の邦画界も腑抜けではない。
CGもアクションも発達し続けている。
だから大丈夫だろう!!
そう言い聞かせて俺は夏休みで賑わう劇場へと赴いたのであった。1人で!!
先に結論を言ってしまえば「まぁ面白い」
常に平均点、ときどき高得点。
四捨五入すれば大成功、と言って差し支えない。
そんな雑になるあらすじ。
主人公「黒崎 一護」は髪色と「幽霊が見えること」を除けば普通の高校生。
ぱっと見は今どきのクールな学生だが
事故現場をスケボーで荒らした不遜な輩をシバき倒す課外活動を行う程度には熱血心も持ち合わせていた。
まぁ俗に言う「いいヤツ」であった。
今日も親友の「茶渡 泰虎(チャド)」や
一護に想いを寄せるクラスメイト「井上 織姫」らと
平和な学生生活を送っていた。
しかしそんな平穏なときは突如終わりを告げる。
いつものように自室に帰ると
澄ました顔で不法侵入していた女がいた。
「朽木 ルキア」
その様子からイカれたヤバいヤツかと思いきや
話を聞いてみると彼女は「死神」らしい。
「何言ってんだこいつ…」と思うのも束の間。
外から轟音が聞こえてくる。
そこには怪物がいた。
大型の悪霊。通称「虚(ホロウ)」
そんなものが襲い掛かってきていた。
そして彼女は「この手の悪霊を叩き斬るのが死神の仕事」だと言う。
事情は全く飲み込めないものの、虚の追撃の手は止まない。
一護の家や家族、なにより本人に甚大な被害が及ぶ。
それを護ろうと奮起するルキアであったが
不覚を取って戦えないほどの負傷をしてしまう。
迫り来る絶体絶命。
しかしそんな事態を黙って見過ごせないのが一護だった。
「なんだか知らんが、手はねえのか?」
「ひとつだけある…貴様が死神になれ」
実はあの虚の狙いは一護だった。
彼は人一倍「霊圧」が高い。
それを食糧としている虚には絶好の獲物だった。
「それだけの霊圧なら貴様が倒せる」
一も二もなくそう言い放ち、一護の胸に死神の刀「斬魄刀」を突き立てる。
刹那、虚が一刀両断される。
黒崎一護のプロフィールに「死神代行」の文字が加わった瞬間だった。
かくしてなんとか困難は乗り切れた。
しかし一難去ってまた一難。
今の一護の霊圧では死神の力をルキアに返した瞬間に即死らしい。
そして現世に行く場所のないルキア。
霊圧上げの修行がてら奇妙な同居生活がスタートしてしまうのであった。
「マジかよ…」な一護。
ひとまず転校してきたルキアと共に二重学園生活を送る一護。
面倒事が大嫌いな一護からすればもう勘弁な現状だったが
そんなうんざりは留まることを知らなかった。
実は死神の力を他人に譲渡することは大罪であった。
そんな罪人であるルキアを奪還しようと
死神界「ソウル・ソサエティ」から追っ手2人が現世へと君臨する。
一見すると赤髪のチンピラとNo.1ホスト風の輩だが
その力は「本物」だった。
後手後手になってしまう一護とルキア。
そんな窮地に1人の男が電撃参戦してくる。
一護のクラスメイト「石田 雨竜」だった。
クラスでは冴えない男子。
中心人物である一護との接点は皆無だったが
彼の本性は「滅却師」だという。
「死神」と同じく虚を滅する、しかし大昔に死神に絶滅させられた種族だった。
何度目かになる「なんかわからん」現状だが
とりあえずピンチは覆った。
こうなってきてはクールぶってもいられない。
「もう知らん!!俺がなんとかする!!」マインドに火がついた一護。
なにより売られた喧嘩は買わねばならない。
かくして陽キャ高校生の逆転劇の幕が上がるのであった。
「よーし!!やったるで!!」
言えることは本作は予想よりもずっと原作基準。
おそらくは7巻程度?までをざっとまとめている。
テンポの良し悪しには非常にバラつきがあるものの
内容はほぼほぼ平均以上。
キャラビジュアルも『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』のときのような「これだ!」感はないものの
正しくも美しい、宇宙一のバカ映画。『銀魂(実写)』感想。バレあり。 - 高速回転する方舟の片隅で。
考え得るΨ高の実写化。『斉木楠雄のΨ難(実写)』感想。バレなし。 - 高速回転する方舟の片隅で。
普通に可もなく不可もなく、といったところ。
「まぁこんなもんかな…」という予想がことごとく当たる。
かと言って決して駄作なわけではない。
ときたま大当たりの箇所もあるから気が抜けない。
・全般的なアクション
やはり特筆すべきはこれ。
一番最初のvs虚戦では多少違和感があったが
荒削りなオープニングマッチ。
終盤に進むにつれて次第に洗練されていく。
それがちょうど一護が死神の力に慣れ、扱えるようになるまでを追っているようでもある。
狙っているのかはわからんが、これが素晴らしい。
それが極まるラストバトルのvs恋次戦。
「地に足のついた剣戟」「縦横無尽なアクロバティックさ」「有効的なCGI」が見事にミックスされて
非常に見応えのある戦いになっていた。
同じくソードアクションの邦画化『るろうに剣心』とは微妙に違ったベクトルの、それでいて新たな可能性を感じるアクション。
街中を跳ね回りながら「死神」ならではの戦い方を存分に堪能できる。
現代の達人とは全く異なった洗練のされ方。
さらにはその中にも「斬魄刀解放」というファンが観たいものも詰め込む。
「これぞ実写化だ!」と劇場では狂喜した。
このパートだけでも十分お釣りがくるが
前後するクライマックスの
vsグランドフィッシャー(すごい強い虚)戦。
宣伝でもよく使われていた印象だが
ここは邦画の限界を超えたと言っても過言ではない。
大きさは建物3階建て分ほどの悪霊。
それが街中を暴れ回る。
その迫力はさながら「怪獣映画」でもあり「ディザスター映画」でもある。
その対象に追われる一護。
原作通りその霊圧に充てられて能力が顔を見せ始める織姫とチャド。
そして最悪のピンチに駆けつける雨竜。
そこから巻き返すあらゆる意味での陰陽タッグマッチは最高の盛り上がりだ。
わかってはいても燃えずにはいられないライバル同士の共闘。最高だな!!
・ベテラン組の演技力。
物語の性質上、主軸になるのは若手が多いが
一護の両親役に「黒崎 一心」as.江口洋介
「黒崎 真咲」as.長澤まさみ
作中屈指の強キャラな彼は「浦原 喜助」as.田辺誠一
とベテラン勢が揃っている。
同時にそれぞれ実写化の立役者でもある。
すごいな!いろいろと!!
総括すると
邦画あるあるな「喋りすぎ」シーンもなくはないが
基本的に平均点、たまに満点な本作。
この手のキメ画はさすがのセンス。
ハードル下げて観る分には大満足できる出来だ。
…ただまぁ『銀魂2 掟は破るためにこそある』がやってる現状、今さら観に行く奇特な方がいらっしゃるかどうかはわからん!!
今夏観たい邦画&実写化No.1。
前作が良かっただけに期待は大!!
余談。
いろいろとありがちな「実写化映画」だが
本作の監督「佐藤信介」の職歴。
『GANTZ』
『デスノート Light up the NEW world』
『いぬやしき』
…とこちらも隠れた実写化御用達監督。
一概に名作揃いとは言い難いが
新世代の実写化製造機となりそうな予感。
ただ個人的に佐藤監督のフィルモグラフィーで一番のおすすめは
『修羅雪姫』
見所は多々あるものの最も注目すべきは
右上のアクション監督の欄。
「ドニー・イェン」
…すごい人脈だ!!
次回作アクション監督にぜひ!!
↓及第点以上の予告
映画『BLEACH』本予告【HD】2018年7月20日(金)公開 - YouTube
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