毎度お馴染み、手間暇かけた殺戮ポルノ。
サスペンスの皮を被った痛快娯楽作。
まさかの復活、不死鳥マルチ!!!
ネタバレなし感想。
シリーズ未見でも問題なし。
グロさは(今までに比べると)控えめ。
耐性ないとキツい。
とりあえず「生のありがたみを思い知らせるために罪人を攫って命がけのゲームやってるヤバい殺人鬼"ジグソウ"がいた」ってことだけわかってれば十分。
ちょっと興味あるって方は↓ダイジェストをご覧の後に観賞をどうぞ。
たった3分でシリーズをおさらい 映画『ジグソウ:ソウ・レガシー』ソウ集編映像 - YouTube
『3』観られた人なら絶対大丈夫。
シリーズファンならむしろ物足りない。
というか不満爆発するかもしれません。
当記事は今までのシリーズはもちろん『君の名は』のネタバレに触れています。ご注意を。
正直なんのことかさっぱりわからない。
俺も一度なかなか美人な女性に勧誘された経験がある。
「一緒に幸せになれる」とのことだったので待ち合わせした足でホテルに直行したところ、とんでもないことになったしょうもない黒歴史がある。
結果逆ギレして事なきを得たが、それ以来あまり良くは思っていない。
まぁ個人でやる分には好きにしろとしか言えないが
そんな連鎖商法。経営者側には美味しいのか映画界にもひとつの金字塔がある。
それが『SAW』シリーズだ。少ない元手で大儲け。ひとつ観たら次も観ないことにはもやもやするそのつくり。そして教祖様的な大きな存在。
まぁ連れ込まれる先はカフェではなく処刑場で、待ち構えているのは殺戮兵器という多少の違いはあるが!!
俺の記憶が正しければ数年前に『ファイナル』が封切られたはずだが、近年の全世界共通な深刻すぎる悩み「ネタ切れ」によりこの度、復活!!
ちなみに『ファイナル』は日本独自のタイトル。監督に確認をとってつけた、とのこと。
本作で裏切られちゃったけど!!
思えばサスペンススリラーだったのも『2』まで。
『3』からは「僕らが考えたびっくり処刑術博覧会」になっていた。
一応追いかけてはいたはずなのだが、正直なところ欠片も記憶にない。
『1』の「真ん中の死体が真犯人でした!」には驚かされたのは記憶にあるものの、それ以降は惰性で追いかけていたと言った方が正しい。
さて。そんなシリーズ待望(?)の新作。
本作は予告を見る限りどうやら新シリーズの体をなしていた。
あまり興味はなかったが、嬉しいことにムビチケ2枚が当たった。無駄にするのもなんなので観賞ポイントついでに最終日に駆け込んだ。
しかしこれがなかなかな傑作だった。
驚きのあまり翌日にわざわざ遠出してまで2回目を鑑賞したほどに気に入ってしまった。
先に言っておくとこの高評価っぷりはハードルの低さに他ならない。
真面目なファン(いるのかは知らん!)が観たら首を捻ること請け合いだ。
そもそも新作をつくる意義もあまり見当たらない本シリーズ。
アンケートをとれば大抵は「惰性で追いかけていた」と答えそうなもの。
それなのに俺が本作を気に入れたのは「半端なファン」であることに他ならない。
「まぁ72点くらいの出来だろう」と思っていたらまんま72点だったピッタリ感が心地良かったのかもしれない。
言ってしまえば吉野家の新作牛丼が予想以上でも以下でもなかったような。
そんな期待も予想も裏切らないあらすじ。
のうのうと生きている罪人を攫ってきてはデスゲームを仕掛ける究極の殺人鬼「ジグソウ」が死んでから早10年。
熱狂的な信者はいるものの事態は収束していた…かに思えた。
とある男女5人が目覚めるとそこは謎の部屋。
首にガッチリと繋がれた鎖。
そして目の前にはチェーンソーの壁。
呆気に取られる間もなくスピーカーから安定感のあるボイスで「ゲームを始めよう」とのお達しがかかる。誰がどう見てもリアルガチでヤバい状況だった。
とりあえずオープニング戦で1人死ぬその様から完全にお遊びではなさそうではある。
その後も「注射器をブチ込め! 」「脚を切り落とせ!」「なんとか生き延びろ!」などめちゃくちゃなゲームの数々。為すすべもなく命を散らしていく参加者達であった。
そしてそんな猟奇殺人を担当する刑事が数名。1人、また1人と被害者が肉片となり発見されていくその猟奇的な事件を追っていくうちに、あの殺人鬼の蘇りを確信せずにはいられない物的証拠の数々が出てくる。結構ぞろぞろと!
本当に「ジグソウ」は復活したのか?
おそらく存在する「共犯者」は誰なのか!?
この映画、キチンとオチはつくのか?!!
観客の思いをほぼ無視しながら、今!
殺戮のジェットコースターがスタートする!!「ゲーム ヲ ハジメヨウ…」
…というもの。
端的に重要な根幹を言ってしまえば本作では『君の名は』方式が採用されている。
ゲームパートと警察パートが交互に進行していく演出もそうだが、なにより互いの時系列が全然違う。
大オチを言えば本作のゲームは10年前、「ジグソウ」のデビュー戦でもあった。
まぁ序盤でゲームの被害者達が誰も「ジグソウ」の名前を出さない時点でうっすらそんな気はしたし
時系列シャッフルは過去作でも使われていたネタだったと思うが、まぁ気のせいだろう!!
そして10年後の現在に新鮮な死体が次々と現れていたのはジグソウの後継者ローガン・ネルソンが似た罪人を用いてもう一回同じ「ゲーム」をしていた、とのこと。こいつが真犯人です。
正直「え、それ意味ある?」と言いたくなってしまう二度手間さだが、これこそ本シリーズ独特の雑味だ。
そもそも話の整合性がキッチリ取れていたのもシリーズ前半戦のお話。
正直ファンは別にそこまで期待しちゃいないだろう。
それよりも見所は上記した「ゲーム」に終始する。
本シリーズならではの猟奇性、残虐性、そして割と穴だらけなルールなどの独自性はきちんと受け継がれている。
全体的にエグさは控えめに、スタイリッシュさは増し増しになっている気がしないでもないが
それを目当てなファンはそこそこ満足するだろう。
とはいえエグさを求めている熱狂的なファンからしたら物足りないかもしれない。
しかしこのご時世。新規ファン獲得のためには致し方ないとも言える。
とはいえファン向けのサービスシーンがないわけではない。むしろ悶絶ものの場面がある。
中盤にてジグソウの大ファンだという女の子が出てくる。
その娘の「コレクション」がこれだ。過去作に出てきた「殺戮兵器」の数々。
ここまでズラッと並べられると圧巻の一言だ。
話にはあまり関係ないにしても!
そして脚本のガバさは相変わらずだ。
誰がどう行動するか…というか誰も知るはずがない被害者達の過去のあれこれを熟知している段階で
もはや本気で「神」としか言えないジグソウ。相変わらず映画製作者の視点持ち。
しかし本作はシリーズの前日譚でもある。
そこには過去最高にイキイキとしたジョンさんの姿が!!
オーラ満載に持論を展開する「ジグソウ」の姿が見られるだけでも元は取れたはずだ。
きっと!!
そしてラストにチカチカし始める画面。
一応の謎解きでついていけなかった観客向けへの完全ネタばらしパートなわけだが
ここで問答無用でテンションが上がるのはなんやかんやでシリーズファンなのか「やっと終わりか」と思うからなのかはわからない。
そろそろ自分でも何言ってるかはわからなくなってきたのでまとめるが
トータルすると話の筋が通ってるかは微妙。
一通り「ゲーム」が見られて全貌が明らかになる解決篇にはワクワクを禁じ得ない。
序盤にも言ったが予想も期待も別に裏切られることはない。
それでもシリーズファン、新規の観客どちらにも配慮していることは十二分に伝わってくる。
ある種グロ映画の火付け役ともいえる本シリーズだが、今や海千山千の亜種が氾濫している。
決して見られたものではない駄作が多い中、数年ぶりに何も変わらず新ネタを引っさげて帰ってきてくれたことには感謝を禁じえない。
そこにはテンポの良さだけでは説明できない「なにか」があった。
数年ぶりに会った親友が結婚していながらも中身は学生のときのままだったような懐古感とでも言おうか!
本作はそんな謎の感動を味わえる傑作、と俺は胸を張って言える。
誰がなんと言おうとも!!!
まぁギャ-ギャ-言いながら友人同士で酒でも飲みながら見る分には満足できるだろう。たぶん!!
雰囲気満点な予告↓
雰囲気残念なTwitter↓
ばーさーくん (@bebebeberserkun) | Twitter