珍しくネタバレなし。
というかまともにレビューが書けない衝撃。
今回も本気(ガチ)ノーラン。
一切の躊躇&手加減なし。
そして清々しいまでの緊張感。
観賞前にはブドウ糖を大量摂取しよう!
全篇クライマックスとは、こういうことだ。
クリストファー・ノーラン。この世界的不況時代にも関わらず右肩上がりの映画産業のトップをひた走る超凄腕映画監督である。
毎回意識が高いのか低いのかもはや感覚が麻痺してくるほどに「面白い」を通り越す傑作しか生み出さないヒットメーカーでもある。
その緻密とも言える作風から狂信的なファンや盲信的なアンチを一手に抱え込むある種のスターでもある。
個人的にはほぼ全ての作品を追いかけているくらいには好きだ。
ハマったのは「ダークナイト・トリロジー」から。豪華だなぁ!!
しかしその頃から変わらないたった一つの難点がある。
観終わった後の虚無感。
そして後日に引きずる疲労感だ。
まぁそれほど凄い映画をつくってくれるのは嬉しいったらないのだが
初見の際はかなり気を引き締めてかからないと比喩抜きで死にかねない。
さて、今回は『インターステラー』以来3年ぶりの新作。
そしてなんとノーラン初の史実映画。
さらには戦争もの。
一応心の準備はしたものの
こんなの精神もってかれないはずがない。
上映時間が106分と短めなのがまだ幸いと思っていた…が。
結果、いつも以上にノーラン節全開。
それどころか史実の戦争ものということで一切の手加減なし。
短めの上映時間も「緊張感を終始引っ張れる限界ギリギリの時間だからじゃないか…?」ということに気づいてからは
ただただ自身のメンタルが削られていく音を聞くしかなかった。
しかしその残酷とも言える作風がテーマとこれ以上ないほどにシンクロしていた。
世の中には「ノーラン監督作」というだけで褒めたり貶したりする人もいるみたいだが
俺には全く関係ない。
まぁ無条件でステイサムを褒めまくりの俺が言えたことではないが!!
ストーリーとしては
第二次世界大戦初期の1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍兵はダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦による撤退を余儀なくされる。(Wikipedia参照)
…というもの。
まぁ、エンタメ作ではないためにわかりやすい起承転結はない。
しかし史実とは得てしてそういうもの。
その代わりに全篇、切れることない緊張感で走り抜ける。
物語の構成としては陸海空と3つの視点で話が進む群像劇。
それぞれの主人公としてトミー。陸担当。
英国二等兵。新人兵。
闘いには消極的だが仲間の命は尊ぶ気高さも。
生きて帰ることにも恥じらいはない。
ピーター。(左)海担当。
自国の援助に民間船で海を渡る祖父を手伝う勇気ある少年。
割とヤンチャな節がある。
中盤、海のど真ん中で被弾した英国兵(右)を救助するが…
ファリア。空担当。
空軍のエースパイロット。相当な凄腕。
仲間が倒れていく中でも不屈の闘志を見せる。
演じるは現在出演作にハズレなしのホームランスラッガー。トム・ハーディ。
余談だがマスク着用時にはベイン風味。
同監督作より。
…がいることにはいるが
作中では名前が呼ばれることはほぼない。
それどころか台詞も最低限を超えたごく僅かなもの。
実際ベラベラ喋るやつはそういないだろうが
もはや映画としての体を成すギリギリのラインだ。
というか一から十までわかりやすさは皆無なために
観賞中は自分が驚くほどに低偏差値になった気分になる。
初見だけでは全容を把握しづらいのはノーランの特徴とも言えるが、本作ではそれがあまりにも顕著。
それでも観客を飽きさせることなく最後まで手を抜かずに描き切るのは天晴れとしか言えない。
上記したように上映時間が短めなのは「緊張感が保てるギリギリのライン」ということもあるだろうが
「3時間はかかりそうな題材を圧縮した」
「ほぼ説明に終始しかねない映画の前半を削ってクライマックスだけにした」
ともとれる。
さらにノーラン御用達な音楽家ハンス・ジマーが今回も当然のように参加。
予告編でもあるような焦燥を煽りに煽る音楽も手伝ってこちらまで嫌な汗かきっぱなし。
下手に本編が長いと慣れてしまいかねないだけに素晴らしい采配だ。
とにかく言えることは「ノーラン×戦争もの=マジでヤバい」ということだけだ。
徹底した実物志向でも知られるノーラン監督が史実を取り上げれば「そりゃヤバいよな!!!」以外の言葉が出てこない。
というか毎度のことだがノーラン映画の観賞直後は頭の中の整理がつかない。
向こう一週間は脳が酸欠になる。
もう「とにかく見てくれ!!!」としか言えない本作。
まぁブロガーとしては失格だが!!
珍しく画像少なめな記事になってしまったが
逆説的に察してくれるとありがたい。
そのうち整理ついたら追記でもしよう。
今回は映画同様に短めでまとめた、ということで許していただきたい。
とにかくノーラン好きはもちろん、映画ファンや普段映画をあまり見ない人にもぜひ見て欲しい超傑作だ。
観賞後はHPもMPも根こそぎもってかれるが
満足することだけは保証できる。
ちなみに今回も最近よくある試写会での観賞だったのだがなんと初のIMAX。
もう「圧巻」の一言だった。
スクリーンがデカさが作品と相まって失神直前。
もう凄いわ!!ノーラン!!!
傑作感が垣間見える予告↓
映画『ダンケルク』本予告【HD】2017年9月9日(土)公開 - YouTube
いろいろと失格なtwitter↓