前作は序章でしかなかった。
比喩抜きで!!
理想的、かつ真っ当な続編。
とりあえず予告篇で少しでもピンときたら観よう!
前作未見でも全然大丈夫だ。
アクション好きなら絶対に劇場へ。
前作好きなら死んでも観ろ!!
映画とはビジネスである。
故に、成功した映画には続編がつきものだ。
もちろん観客もキャストも製作陣も、誰もがさらなる成功を夢を見る。
しかしそう簡単に事が運ぶことはなかなか難しい。
同じことをしたのでは続編の意味がない。
しかし突拍子すぎるのも顰蹙を買う。
『ランボー』『エイリアン』『ターミネーター』(どれもキャメロンだ!凄いな!)のように思い切って方向転換を図るのも手だが
正直一か八かのところがある。
そもそも傑作だからこそ続編の話が出る。
その決して低くないハードルを越えられた作品はそう多くない。
「まぁ結局、一作目が一番面白いよね」とはよく聞くセリフだ。
そんな中。
「キアヌ、マジギレ。完全復活!」な
『ジョン・ウィック』が世界中で大ヒット。
『ジョン・ウィック』バレあり感想!中二魂持ってるなら見ずに死ねない!!! - 高速回転する方舟の片隅で。
当然の流れで続編が待望される流れに。
正直なところかなり不安であった。
ただのアクション映画ならいざ知らず。
この映画の魅力のひとつに「独特の世界観」があるからだ。
例えば殺し屋限定サービス。
他の映画では見られないような多少のファンタジーが絶妙に織り混ざった世界観。
そしてそこで繰り広げられるやたら地に足の着いたアクション。
本作の魅力を活かしたままに意義のある続編などつくれるのか…とファンとして無駄な焦りを抱えつつ試写会へと足を運んだ。
しかしそんな器の小さい細々とした杞憂は上映開始と共に吹き飛んだ。
「お前らの観たいものはこれだろ!!」というキアヌと監督の心意気のつるべ“撃ち”状態。
痒いところに手が届く、どころか思いっきり掻きむしるような快感に襲われっぱなしだった。
そんな「最高にわかってる」あらすじ。
前作の5日後。
犬の復讐はスッキリ遂げたものの車はパクられたまま。前作ラストから引き続く激おこ状態。
一度復帰したキアヌは止まらない。
挨拶がてらいっちょ奪還に向かうのであった。邪魔者は轢こう!!
どうやら現在キアヌの愛車は前作で始末した組織のボスの兄弟の下にある、とのこと。
当然相手方はキアヌの現場復帰を聞きつけ焦りに焦りまくっている。
手下が「所詮、車一台でしょ?」と言おうものなら
「お前はなにもわかってない! あいつは…」
「鉛筆で3人殺したんでしょ?知ってますよ」
「その伝説は控えめなんだ!!」
とブチギレ!!
そこにノックもなしに単騎で乗り込んでくるキアヌ!
クライマックス級のゴリゴリアクションの末に車を奪還する。そこになんとかキアヌを始末しようとする手下達。
ここから地に足の着いたワイルドスピードが始まる。クラッシュすれば車体は凹むし、ドアも取れる。
しかし気にしない!!
せっかく奪還した愛車がスクラップになるのもお構いなしにマフィア共を殲滅していく。
当然、カーアクションだけではない。
設定上は5日後だが、どうみても一年はトレーニングを積んだような動きで雑魚共をバッタバッタとなぎ倒していく。監督とキアヌ曰く「今回はアクションに柔術を組み込んだのさ!」とのこと。
なるほど、確かに投げまくりだ。コンクリの地面に!
もはや「前作では舐めプしてたんじゃないか…?」
と思えてしまうほどのアップグレードぶり。
ただ続編としては大正解と言わざるをえない。
とにかく開始早々に組織をひとつ潰すという口が塞がらないオープニング。
そんなデッカードの如き無双っぷりもそこそこに帰路につく。今作のキアヌ≒この方。
「形だけの続編ではない!!」と観客に叩きつけたのも束の間。
ひとりの男が訪ねてくる。「サンティーノ・ダントニオ」
どうやらキアヌとは同じ釜の飯を食ったサークル仲間らしい。
嫌な予感がするもどうにも無碍にはできないキアヌ。
そして予想どおりに「とある殺しの依頼」をされる。
「いや、俺引退したから…」と断るもなにやらゴツい金メダルを目の前に出されて押し黙ってしまうキアヌ。何を隠そうこのメダルは「誓印」といい
殺し屋ソーシャル内では鉄の掟の証でもあるらしい。しょんぼりキアヌ。
それはこれがある限り足を洗えない、という厄介な鎖の象徴でもあった。
簡単にいえばこれを見せつければまた依頼ができる、というもの。
例の如くあの独特な世界観だ。
ワクワクしてきた!
かくしてその依頼とは
「権力を握った俺の実姉を殺してくれ。そうすれば全権が自分にまわってくるから」
もう家族愛もへったくれもないものだった。
後に判明するのだが、この標的とはキアヌも昔馴染み。
全く気が乗らないものの掟は絶対な王様ゲーム的世界。岸辺露伴のようにはいかず。
渋々首を縦に振るキアヌであった。
しかしそんなキアヌを信じていないのか、このサンティーノ。
なんと家を出るや否やキアヌ宅にロケランをブチ込む。「いや、死んだら元も子もねぇだろ!!」と思ってしまうが
そこはキアヌ。愛犬と共に一命は取り留める。
しかし愛する嫁との想い出がつまった我が家は一瞬にて廃墟に。
当然キアヌは「もうこいつ仕事の後に個人的に殺す」モードに突入。
犬のためにロシアンマフィア殺した漢の家を爆破するサンティーノもそうだが
この状況で仕事はきっちり受けるキアヌもキアヌ。
とにかく腹に一物、どころか百物は抱えた状態で物語はスタートするのであった。
とりあえずいち早くサンティーノを殺したくてたまらないキアヌは手早く依頼を片付ける。
…が、それで終わるような生易しい業界ではない。
報復を見越したサンティーノはキアヌの首に700万ドルの懸賞金を掛ける。そして各地の殺し屋達に一斉送信されるメール。
当然そんな美味しい話に食いつかない裏社会人など存在しない。
かくしてニューヨーク中の殺し屋に狙われることになってしまったキアヌ。
この世界に再び引きずりだされた怒り。
そんな世界でしか生きられない哀しみ。
そして八方塞がりにも程がある途方のなさ。
その全てを殺意へと変換し
「復讐」という名の兵器を背負い込み
修羅の道へ舞い戻るのであった。
殺せ!殺せ!!殺せ!!!
もうあらすじだけでもたまらないが
特に刮目すべきはその規模。
前作ではvsマフィアであったが
今作ではニューヨーク中の殺し屋をたった1人で相手どる。
まさに地区大会から全国大会へ。
よって敵の強さもキャラの濃さもアクションの比重も超甲子園級に。
個人的に大プッシュしたいのは彼女。「アレス」(演:ルビー・ローズ!)
『トリプルX 再起動』にて俺のハートを強盗のようにかっさらっていった彼女が緊急参戦。通称「クリ勃起」というカリスマ性溢るるイカれたスナイパーを熱演。
俺の中ではヴィンとドニーさんに並ぶ程に大好き。
その御仁が今度はキアヌと。
それもラスボスに近い役割で。
「最高」という他ない。
前情報はほとんど入れてなかったために
出演を知ったのは上映直前。
俄然、前傾姿勢で観賞せざるを得なくなった。
今まで通りに本作でもその男前度はMAX。
聾でありながらもその腕前はピカイチ。序盤からキアヌを睨みつけっぱなしの圧倒的存在感。
ラストバトルは「鏡の部屋」という満点のサービス。絶頂するしかない。
個人的な話だが手話経験がある身としてはその設定にすら惚れる。
まさに終始、俺得なキャラだ。
そしてキアヌのライバル的存在として「カシアン」
キアヌとおなじくルールに則る一流プロな殺し屋。
どうやら顔馴染みでもある様子。
というかこの世界では現実以上にキアヌの名前が知れ渡ってる節がある。
作中、幾度に渡って死闘を繰り広げるが
途中ホテル内に突入してしまった際には一時休戦をする律儀さもある。殺し屋御用達「コンチネンタル・ホテル」内では殺しはご法度。
支配人にBARを勧められて大人しくサシ飲みをする素直さ。
かと思ったら一転、駅や電車内では血で血を洗う殺し合いを演じる。
その他にも幾多の名もなき殺し屋が登場する。
路上バイオリニスト、スモウレスラー、ホームレス etc...
もう適当に銃ぶっ放せば殺し屋に当たるレベルで!
前作にも増してファンタジー度は上がったがこれも正しい続編の形。
そして…
「バウリー・キング」
…というかローレンス・フィッシュバーン。
「おひさ!!」
もう明らかに只者ではない。
その名の通り裏社会の王にしてホームレスの王。
ニューヨーク中に狙われてしまったキアヌをフォローする。
銃弾を7発だけ装填したハンドガンを渡すだけだが!
さらに…
あの「ジャンゴ」がまさかのサプライズ出演。
「コンチネンタル・ホテル」inローマの支配人。
残念ながらアクションシーンはないのだが
その存在感は全く衰えていない。
このように濃い新キャラが「これでもか!」と投入されている。
さらにそれだけではなく嬉しいことに前作からのキャラもおざなりにされていない。
このことからも製作陣がいかに世界観を大事にしているかが伝わってくる。
「オーレリオ」
キアヌ馴染みの自動車修理屋。
ちょい役だが相変わらずの仲の良さ。
オープニングにてスクラップになったキアヌの愛車の修理を請け負う。
「直るのはクリスマスだな。2030年の」
ちなみにあの巡査も。前作と合わせても出演時間1分程度だが、続投させる隙のなさ。
今作ではロケランにて破壊されたキアヌ宅をガス爆発で済ます気配りの良さを見せてくれる。
「おいおい…」感は健在。
…などなど。
さらにはそれを壊すことなく新たな要素も続々登場するサービス精神。
「ガンセラー」
店構えはほぼほぼワインセラー。
一流ガンソムリエが在籍。
注文通りの「一品」を揃えてくれる。
試飲ならぬ試射も出来る周到さ。
ここでバイトしたいなぁ!!
「仕立て屋」
一見、高級スーツ店。しかしここは裏社会。
「スーツは男の戦闘服」とは額面通り。
本気の戦闘服を仕立ててくれる。
憧れるオーダーメイドっぷり。
配送サービスもやってます。
とにかく本シリーズならではのオリジナリティが損なわれるどころか拡大していく。
その世界観で繰り広げられる
「目には目を、殺意には殺意を」
なアクションの数々。
もはや戦争ものだ。
もうエクスペンダブルズに入隊してもおかしくないほどのレベルアップぶり。
見所のひとつ。高速マガジンチェンジ。
ノーCGというから驚きだ!!
その過激さが顕著に現れるのが中盤。
キアヌが名もなき殺し屋タッグに襲われる。
前作、そして序盤にて語られたあの武勇伝がいよいよ顔を出す。
手持ちの銃は弾切れ。2人に囲まれ絶対絶命。
しかしキアヌの目線の先にはあれがあった。
そう、鉛筆だ。
有無を言わさずそれを手に取り
躊躇なく倒れた相手の耳にブチ込む!
さらに掌でキチンと奥まで押し込む!
それだけでは終わらずに
壁に鉛筆を突き刺した後にもう1人の頭をそこに叩き込む!!当然のように!!
これぞ伝説の「鉛筆殺し」だ。
刃牙でも描かれていた別解釈の「ペンは剣よりも強し」の実写化と言っても過言ではない。イメージ図。大体同じ。
しかしむしろこの殺伐とした状況ではこれが正しい。
よもやここまでアウトレイジだったとは笑うしかない。
実際に俺の横で観てたおばさまは「ひっ!」と呻いていた。
このあくまで「倒すため」ではなく「殺すため」の技術の数々。
他のアクションとは一線を画しつつ、それでいて
「武勇伝は控えめに、それも他人に語らせろ!」
という漢気が見てとれる。
このファンタジーの中にある生々しいまでのリアリズム。
それは最後まで失速することなく貫き通される。
ラスト。
「コンチネンタル・ホテル」にてとうとう憎きサンティーノを追い詰めるキアヌ。
ようやく殺せる…が側にはホテルのボスもいる。
当然、頭には「ホテル内では殺しは御法度」という鉄の掟がよぎる。
それを見越してかヘラヘラとしているサンティーノ。
うだうだ講釈を垂れようとする…が!
目が合うなり即!発砲!!!
当たり前のように眉間に鉛玉をブチ込むキアヌであった。
通常よく見かけるラストシーンでは銃を向けながらも悪役がだらだらとのたまうことも多い。
なのにこの潔さ。
確かに再びこの世界に引きずり込み、さらに家をロケランで廃墟にしやがった野郎の言い分など聞いてる暇はない。
「いや、いいから早く撃ち殺せよ」とはよく抱いてしまう感情だが
ここまで早いと唖然を通り越して天晴れだ。
このラストシーンでの引き金の軽さ。
やはり即決できる漢はカッコいいな!!
例えそのせいで裏社会から全面追放を食らったとしてもだ!!
エンディングではそのまま愛犬と共に街に消えていくキアヌ。
この先どうなるかは誰にもわからない。
まぁ本国では大ヒットしたんだから間違いなく続編はつくられるだろうが!
ちなみに「コンチネンタル・ホテル」を舞台にしたドラマも企画中。キアヌもちょっと出るらしい。
とにかくどんな逆境だろうが修羅場だろうが
キアヌはその持ち前の機転と戦闘力、そしてフットワークの軽さ、なにより容赦のなさで
これからも乗り越えていくことだろう。
伝説は、まだまだ終わらない。
『ジョン・ウィック:チャプター2』
本日7/7より全国ロードショー。
今度は家かよ!『ジョン・ウィック:チャプター2』予告編 - YouTube
死んでも観よう!!
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