ぱっと見は意識高め。
しかしその実は…!
「好きな映画のジャンルは?」
映画好きが出会ったときに交わされる最初の質問である。
俺がそう尋ねられたとき、真っ先に挙げるのが「アクション映画」だ。
というかそれしか語れないのだが!
人生で観てきた映画の9割はアクション。
我ながら「よくもまぁ飽きもせず観続けてられるな!!」とも思う。
しかし一口に「アクション」と言ってもその中にはさらに枝分かれした様々なジャンルがある、と言いたくなってくる。
SFアクション。カーアクション。格闘アクション。ソードアクション。そしてガンアクション。etc…
無論どれが上などはない…が、その中でもやはり大好きなものはある。
物理法則ガン無視のガンアクションだ。
もちろんリアリティ重視のアクションも愛してやまないが
「主人公が最強無双もの」には採点が甘々になるどうしようもない癖がある。
そりゃ主人公が強ければ強いほどおかしな点は増えてきますよ。
敵の弾が全く当たらない。
どう考えても動けないほどの重装備。
それを無視した素早さ。
そして気が向いたときにだけリロードすればいい主人公の銃火器。
挙げていけばキリがないかもしれない。
それでもそれらの矛盾を景気のいい暴力と爆発で打ち消してきた偉大なる先人達には敬意の念を表さずにはいられない。
主な偉大な先人。頭が上がらん!!
しかしそれでも時代の流れだけには逆らえない。
そんな80年代アクションが下火になるとある事変が起こる。
『マトリックス』革命。
日頃アクション畑でない俳優ですら少し鍛えただけでワイヤーとCGでどうにかなってしまう驚異。
本来は技術の革新を喜ぶべきなんだろうが
やはり筋骨隆々な漢が好きな俺としては危機感を禁じ得なかった。
そんな近未来のワクワクと前時代の消失に怯えていた暗中模索な中。
00年代にもうひとつの伝説が生まれた。
ひっそりと!!!
それが今回紹介する『リベリオン』だ。
「俺が世界を覆す!」
あまりにも景気良すぎなキャッチコピー。
上記で挙げたガンアクションでの矛盾点を全てオレ流物理学で克服。
しかし確かに80年マインドを受け継いだ主人公の超無双っぷり。
そして昔から変わらぬ決意を秘めた漢の眼差し。
そんな古今折衷とも言える、しかし確実に新時代の到来を革新した傑作SFガンアクションだ。
まるで意識高い大学のサークルに昭和のヤンキーが殴り込んできたかのような素晴らしさ。
「合う合わないは知ったこっちゃねぇ!」
「俺はこれが好きなんだ!!」
という監督の声が聞こえてくるような傑作だ。
そんな吉野家代官山店のようなあらすじ。
舞台は近未来。
第三次世界大戦後の世界。
そこは曇天が似合うディストピアだった。
三度にわたる世界大戦で懲りに懲りた人類。
「争いの元凶は感情だ!」との結論に達し
それを消滅させる薬物摂取が義務付けられた。
つまりそこは「感情」が一切禁止された独裁国家だった。
おかげで犯罪率は激減。
というかほぼゼロな理想社会が出来上がっていた。
そんな鬱々とした個性もゼロな国民の1人。
「ジョン・プレストン」
こんな世界になんの疑問も持たない優秀な国家の駒。
お仕事は感情を生み出す芸術品(本や絵画、音楽など)や反逆者を見つけ次第、即処分する特殊捜査官「クラリック」をやっている。
いわば警察と死刑執行人を兼ねた物騒な職務のプロであった。
今日も今日とて朝っぱらから感情違反者のアジトに単騎で豪快に押し入り皆殺しにする有能っぷりを如何なく発揮。神懸かり的な登場。傑作の予感。
そんなターミネーターのような暮らしをしていたとある日。
うっかり感情統制薬を割ってしまう。
本来は規則で新しい薬を貰わなくてはいけないのだが
「今日は飲まなくてもいっか…再配布の行列並ぶのめんどいし」
と割と雑な判断でそのまま出勤するジョン。
ここでジョンがコンビニ店員だったら大した問題になっていなかったかもしれない。
しかしジョンのお仕事は「感情を生み出すものを捜し出して殲滅する」というもの。
がっつり「芸術品」さらには「愛くるしい仔犬」に触れてしまうのであった。びっくりプレストン。
そこで胸に湧き上がってくるもの。
その初体験な「感情」に戸惑いつつも任務を遂行しようとするが…
こんな仔犬を殺せるわけもない。
車に匿ってしまうのであった。
しかし違和感を感じた他の捜査官にハードな職質を受けてしまうジョン。
最初ははぐらかすもネチネチとした取り調べにめんどくさくなったのか
急に過激派に転向する!!
具体的には場の捜査官を皆殺しに。職質はこう躱せ!
かくして追う側から追われる側になってしまったジョン。
もう後には引けない。
こうなったらトコトンやってやろうじゃないの!!
と仔犬一匹、ついでに途中で知り合ったレジスタンスのために
たった1人で独裁国家に闘いを挑むジョンであった。覚悟を決めた漢の目。
独裁国家、転覆させます。
…という潔いもの。
これだけでも意識の高さを着飾った厨二映画であることはわかっていただけたかと思う。
そのファクターでもある一大要素。
とにかく避けて通れない本作の特長として
捜査官「クラリック」が使う特殊戦闘術
「ガン=カタ」が挙げられる。
完全に当映画オリジナルな武器格闘術なのだが
低予算を逆手に取り、妙な堅実さとファンタジーを融合させることに成功。
具体的には複数の敵を相手にする際でも
攻撃の軌道を予測、まるで舞い踊るかのように闘う術だ。如何せん言葉で説明するのは難しい。
とにかく「なぜ二丁拳銃という非現実的な戦法をとるのか?」という大人げない疑問に
自己流の論理的武装をぶつけたひとつのファイナルアンサーだ。
これにより上記で挙げた問題点。
敵の弾が当たらない
→ 軌道を予測しているから。
どう考えても動けないほどの重装備
→ 最低限の装備で効率良く敵を倒せるから不必要。
ときには敵の装備も利用。
身のこなしの素早さ
→ 軽装に加え、動くべき場所がわかっているため。
気が向いたときにだけリロードすればいい主人公の銃火器
→ 予備のマガジンを所持。
さらに袖口にギミックを仕込む周到さ。
…と問題をことごとく解消。
もう突っ込む隙がないな!!ないだろ!!
そしてなによりカッコいい。「カッコいい」は、正義。
現代のアニメや映画でも二丁拳銃ものには必ず影響が見てとれるほどの大発明といえる。
さらにそれだけに頼ることなく
キチンとした舞台背景の描写の数々。
そして独裁国家のビジュアル。
加えてジョンが感情を取り戻していく様などのドラマパート。
一流の製作陣と役者が本気を出していることがひしひしと伝わってくる。
結果的に
「ディストピア」×「オレ流二丁拳銃」
=「最強厨二」
という奇跡の方程式が成り立つ。
俺が一番最初にDVDを買った作品だけあって
思い出補正もあるのかもしれない。
事実、本国では2週間ほどで劇場公開終了。
日本では知る人ぞ知る隠れた名作となってしまった。
それでも「ガン=カタ」スピリットは
今も二丁拳銃を愛している者達の間で語り継がれている…はずだ!!
それを証明するかのように近年。
とんでもない後継作が現れた。
『ジョン・ウィック』
『ジョン・ウィック』バレあり感想!中二魂持ってるなら見ずに死ねない!!! - 高速回転する方舟の片隅で。
無双すぎる主人公。
そして戦闘スタイルは特徴的な二丁拳銃。
その名も「ガン・フー」
しかもこちらも戦争の火種は「仔犬」だ。
あの魂は忘れられていなかった。
もう狂喜する他なかった。
さらに嬉しいことに続編まで製作された。
『ジョン・ウイック:チャプター2』
日本では7月7日公開。
全米では既にDVD&Blu-rayが発売済みらしいが
なんと売り上げ1位。
しかも前作も同時にトップ10入り。
快挙にも程がある!
観ずに死ねるか!!!
本作の予告。素晴らしい!↓
厨二から抜け出せないtwitter↓
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